病気

原因不明の激痛「線維筋痛症」との闘い、9年の闘病生活の中で出会った自分らしい日常生活

田中希有さん(女性:40代前半)
田中希有さん(女性:40代前半)
原因不明の激痛「線維筋痛症」との闘い。夫の9年の闘病生活をお話しします。

難病指定されていない線維筋痛症、その治療法も確定されていない現代ですが、沢山の人が原因不明の痛みに苦しんでいます。

緩和しながら生活維持することが現状策となっていますが、近年リリカなどの新薬も承認され、少しずつですが、この病気の研究が進んでいます。

患者は増える一方ですが、情報を駆使し、まずは自分に合った改善法を見つけることが最善。

一方で、社会的なサポートや生活維持可能な補助等が進められることを願ってやみません。

同じ線維筋痛症の方々は、身体の激痛と、生活維持できない不安と常に闘っています。
その心身共に働きかける治療法や改善案の道が開かれることが、闘病している人たちへの最大の回復薬です。

線維筋痛症とは

線維筋痛症は原因不明の身体の痛みが続く病気で、若年型以外は難病指定されていないものの治療法も確定していない難病です。

痛みも人それぞれで現れ、手足などの末端に痛みがある、背中だけに痛みがある、上下左右半身に痛みがある、全身に痛みがある等様々であります。

最近ではレディ・ガガさんが線維筋痛症の闘病中であり休養することを告白した病気です。

線維筋痛症は季節や時間によっても痛みの現れ方が異なり、治療法も確定していないことから、多大な治験と医療費が発生します。

専門科は膠原病内科や整形外科やペインクリニックや麻酔科で扱われることが多く、様々な痛みを取り除くアプローチがなされています。
他の人には効果があるが、自分には効果がないというように、医療処置も様々である。

線維筋痛症の症状、辛さ。夫の場合。

夫は9年程前に発症しました。
まずは胸の痛みが現れるようになり、救急や心臓外科、内科を受診しましたが異常なし。

その後、背中や首に痛みが現れ、整形外科、神経外科を受診。
整形外科では異常がなく、神経外科に廻されましたが、そちらで膠原病の疑いがある、とのことで大学病院の膠原病内科への紹介状をいただきました。

膠原病内科では、血液検査、レントゲン、痛みの圧点の検査などが行われ、血液反応と圧点の数から線維筋痛症であると診断されました。

日常生活に影響が出始めたら、痛みの軽減のための治療等を始めるということになりましたが、その後、痛みから精神障害を併発。
専門職の自営業をしておりましたが、痛みと精神障害のため休業せざるを得なくなりました。

痛みは背中が主に強く、息が出来ないほどの激痛に襲われました。
痛みと精神障害の為、自分で車を運転しての外出ができなくなり、また立っている時間もきつく、家に引きこもるようになりました。

やはり外出もできず仕事もできないことが一番辛い状況である。

線維筋痛症の治療法、心がけたこと。

痛み止めに組み合わせて複合的に

まずは痛みを緩和する抗うつ剤や痛み止めなどの投薬に加え、モーラステープなどの湿布薬や軟膏を日々使用し、自宅で出来ることとして高額の医療用マッサージチェアも購入しました。

マッサージチェアは効果なく…

家族が行うマッサージや医療用マッサージチェアでの施術は、短時間は血流も良く効果がありましたが、継続しての効果がなく、また後日痛みが更に増してしまうということもあったりし、マッサージは断念しました。

抗うつ剤よりはモーラステープ

抗うつ剤もいくつか試しましたが、仕事を再開するほどに回復は出来ず、モーラステープを貼り続け痛みを緩和している状況である。
線維筋痛症に効果が認められたという新薬のリリカも試しましたが、効果は得られませんでした。

ペインクリニックや麻酔をするお金もなく、薬で日常生活をキープ

ペインクリニックや麻酔の注射も勧められましたが、仕事ができないため収入もなく貯金も薬代に消えていく為、行えない状況です。
難病指定されていないので、医療費も馬鹿になりません。

自宅でできる温泉療法は若干効果が得られたと感じていますが、これもやはり続けるには経済的に苦しく困り果ててしまう。

まずは抗うつ剤での痛みの軽減と安定を確保していますので、これだけは続けて仕事以外の日常生活をキープするのが現在の目標です。

生活習慣の見直し

生活習慣の見直しも心がけています。
基本的に、筋肉を使いすぎた時は通常の筋肉痛に加え、痛みが激的に増加しますので、体を駆使したことは出来るだけ避けます。

体を温める、腹式呼吸、ストレッチ

体を温めることも合うようなので、ゆっくりとした腹式呼吸やストレッチは継続しています。

ストレスを溜めない

あとはやはりストレスをためないことが大事である。
ストレスがかかりすぎると、体が知らずに硬直するようなので、できるだけストレスを感じないような気持ちの持ち方を意識しています。

線維筋痛症との9年の闘病の末、現在の状況

初めは痛みに耐えられずその不安や恐怖から精神障害まで併発し、自分の生活や意思を継続することさえ困難でした。

治療法も確定していない病気ですし、医療費も馬鹿になりませんし、何を信じて闘病すればいいのかわからないことに苦しめられた時期が長かったように思います。

精神障害者として認定、医療費が1割負担に

しかし、その後精神障害者として認定してもらい、(現在線維筋痛症で身体障害者としての認定が可能な場合もあるようです。)医療費も1割負担となりました。

デスクワークも可能に

抗うつ剤も安定して痛みを軽減するものと出会い、現在はモーラステープ湿布と抗うつ剤の併用でデスクワークは可能になりました。

漢方薬(葛根湯)、生姜湯、馬湯をプラス

近年では、漢方も始めています。痛みが酷い時は、体を温めるタイプの漢方や筋肉痛などにも効果がある葛根湯が体質に合い、現在は常備しています。

民間療法としては、生姜湯を飲む、馬油を塗るなどを行っています。
様々な自分に合う改善法を見つけましたので、完治することがなくても現在は自分の思う時間にデスクワークを行い、仕事も継続してできる体制が整ってきているところです。

また、線維筋痛症になったことで、出会えなかった仕事との繋がりや、家族の絆の強さ、日常生活の維持の喜び等、様々な気付きや得たものがありました。

現代ではSNSなどネットで繋がる社会でもありますし、同じ境遇の方々との交流や、この病気故の仕事の依頼などもあります。
こういったこととの出会いも、闘病生活の支えです。

同じ線維筋痛症を経験されている方へ。

前向きに闘病することが大事

初め何の病気かはっきりするまで様々な病院にかかったり、不安が強かったりとあるかもしれません。

現在原因も治療法も確定されてない病気ですが、人それぞれの痛みを抱え、とにかく自分に合う改善法に出会えるよう前向きに闘病することが大事。

仕事も出来ず、社会的にサポートが認定されていることも現在では難しい病気ですが、

やはり行政に相談し、生活の確保をし、そして家族や身近な人に打ち明け理解してもらうことが闘病の第一歩かと思います。

まずは始める一歩を持つことで、関連した情報を得ることもできますし、何より自分だけが闘わなくてはいけないというような不安は消えます。
完治する病気でないかもしれませんが、やれることはまだあります。

緩和しながら自分らしく生活することは可能

同じ苦しみや痛みを味わって過ごすなら、気持ちだけでも楽しいほうがいいに決まっています。

楽しめることをやりながら、闘病し、いつか治療法が確定され、沢山の人とこの病気を分かち合い、頑張ってきたと胸を張れたらいいと思いませんか。

闘病する本人も、それを支える家族も大変な時期はあると思いますが、
世界的なアーティストから隣の人まで、頑張っている仲間がいます。

病気と上手に付き合いながら、自分らしい日常を維持することはとても大切です。