花園法律事務所webへようこそ。
このサイトでは、様々な法律相談にカウンセリングしていく花園弁護士のお話を掲載しています。
今回は、推定相続人を相続人から廃除したいという問題です。
推定相続人を生きているうちに排除する「生前廃除」および「遺言による廃除」について、花園弁護士が解説しています。
その手続きが明らかになります。
Contents
暴力息子に相続させたくない!生前排除の方法は!
桜の名所として知られる羽村堰近くにモダンな住宅が建っています。
ここが花園弁護士のお住まいですが、その応接室では、クライアントが花園弁護士と対座しています。
応接室の奥から花園夫人がお茶をはこんできます。
「おひとつどうぞ」
夫人はお茶をすすめます。
「熱いうちにどうぞ」
花園弁護士はクライアントにお茶を勧めます。
「はい。ありがとうございます」
「メールによりますと、息子さんに相続させたくないそうですが、そのご事情を直接お聞かせください」
「はい。それでは申しあげます」
クライアントは語りはじめます。
長男が暴力男になった原因
わたしの長男は、大学を卒業してから就職もしないで、暴力団員になってしまいました。
そこで、この馬鹿息子には、わたしが死亡したとき、相続させたくありません。
そこで長男を相続人から排除したいのです。
相続人を排除するためには、どういう手続きをとればよいのでしょうか。
花園弁護士は背筋を延ばし、カウンセリングにはいります。
長男を相続から廃除方法、花園弁護士のカウンセリングは!
それでは、まず推定相続人の廃除の方法をお話ししてから、「生前廃除」の手続きを確かめ、そして「遺言廃除の手続」という順でカウンセリングをしましょう。
推定相続人の廃除の方法は!
まず推定相続人を廃除するにはどうしたらよいでしょうか。
推定相続人から、その相続資格を奪う方法として「推定相続人の廃除」という法律で定めた仕組みがあります。
この仕組みを利用して、推定相続人の廃除をするためには、その相続人に「廃除事由」のあることが必要ですし、法律で定められた手続をとらなければなりません。
ここに「推定相続人」とは、法律で相続人と定められた人です。
この推定相続人の廃除の手続には、被相続人が生前に排除する「生前廃除」と遺言による「遺言廃除」があります。
推定相続人の廃除
推定相続人の廃除とは、被相続人対して虐待、重大な侮辱その他著しい非行をしたとき、
被相続人の意思に基づいて、その推定相続人から相続資格を奪うという仕組みです。
この仕組みは、被相続人の意思を尊重するとともに、被相続人と推定相続人との人的信頼関係を破壊したことに対する民事的制裁の制度です。
相続人廃除の事由は!
推定相続人の廃除が認められるのは、遺留分を有する推定相続人に以下の事由がある場合です(民法892条)。
*被相続人に対し虐待をした場合
*被相人に対し重大な侮辱を加えた場合
*その他の著しい非行があった場合
遺留分を有する推定相続人とは、子、直系尊属または配偶者がこれにあたります。
廃除の手続
それでは、廃除の手続きはどうでしょうか
推定相続人の廃除の手続としては、家庭裁判所に請求(申立て)をする必要があります。
すると、家庭裁判所の調停・審判によって決せられます。
生前廃除の手続
それでは、生前廃除の手続きはどうでしょうか。
被相続人が生存中に、家庭裁判所に推定相続人の廃除を請求する場合の廃除の方法を「生前廃除」といいます
廃除の請求権者と相手方は!
すると、廃除の請求権者とその相手方はどうでしょうか。
生前廃除の場合における請求権者は被相続人です。
これに対して廃除の相手方は推定相続人。
ただ、推定相続人すべてが廃除可能となるわけではなく、
対象となるのは遺留分を有する推定相続人です。
廃除請求をすべき裁判所
遺留分廃除請求をすべき裁判所はどこでしょうか。
生前廃除の場合に廃除の請求をするのは、請求権者となる被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法188条1項)。
具体的には、「推定相続人廃除審判の申立書」を提出します。
すると、家庭裁判所が審判によって決定をすることにはなります。
市区町村への届出等!
このような手続きによって、推定相続人の廃除を認める審判が決められたとしても、まだ、それだけでは足りません。
家裁でなされた審判が確定してから、市区町村にその結果を届け出る必要があります。
具体的には、被相続人の戸籍のある市区町村役場に、家裁から交付された審判書を添付して、推定相続人の廃除の届出をしておく必要があります。
これをすると、戸籍に推定相続人が廃除された結果が記載されます。
戸籍に記載がなされれば、あとになって、相続登記をするときなどに、戸籍を添付すればよいだけになるなど、相続後の手続に役に立ちますので、忘れないようおすすめします。
遺言廃除の手続
さらに、推定相続人の廃除は、遺言で定めておく方法もあります。
これを「遺言廃除」といいます。
ただ、遺言廃除の場合は、相続開始後に遺言に従って廃除の手続をとってもらう必要がありますから、遺言執行者を必ず選任します。
ですから、遺言で遺言執行者も定めておくようおすすめします。
遺言廃除の場合、遺言執行者が相続開始後に、被相続人の住所地の裁判所に廃除請求します。
遺言執行者が請求権者となります。
その後の手続は、基本的に「生前廃除の場合」とおなじようになります。
相続問題を解決し、芳醇な人生を!
これまで見てきた結果として、推定相続人をじぶんの相続から廃除する手順が明らかになりました。
生前に息子さんを相続人から廃除しておくか、それとも遺言によってこれを廃除するか、よく検討なさって、お選びください。
この仕組みを活用して、芳醇な人生をおくるようおすすめしましょう。
家庭裁判所に対する申し立てから最後の市役所への届け出まで、必要な手続きはすべてお引き受けします。
フジタ
法律事務所勤務を経て、法律研究所を設立。司法試験の受験を指導、多数の合格者を輩出してきた。
法律とともに、心理学の専門家でもある。