■花園法律事務所webへようこそ
このサイトでは、様々な法律相談にカウンセリングしていく花園弁護士のお話を掲載しています。
今回は、夫の暴力で全治3週間の傷を負わされた妻からの離婚問題です。
暴力夫を傷害罪として告訴できるか、夫の暴力から解放される手立てはあるか、離婚するにはどうしたらよいか?
などについて、花園弁護士がじっくり解説していきます。
■錦鯉が泳ぐ清流の畔!
花園弁護士は、多摩川から取水する玉川上水の畔にお住まいです
東京郊外の多摩西部にあたる桜の名所「羽村堰」では、多摩川からの水源地玉川上水に沿って桜並木が展開されています。
ゆっくり流れ降る玉川上水の澄み切った水流の底では艶やかな彩の錦鯉が泳いでいます。
■花園邸の応接室ではどんな話が!
応接室のドアを開けると豪華な応接セットが配置されています。
奥の壁側には大きい書棚がおかれ、厚く綴られた判例集、憲法、民法、刑法、会社法、手形小切手法、行政法、民事訴訟法、刑事訴訟法、破産法そのほかの法律専門書がぎっしり並べられています。
ソファーの右側には黒いスタンドピアノがでんと置かれ、ピアノの譜面台にはソナチネの譜面が開かれたままになっています。
花園夫人が、ピアノのレッスンをしてそのままにしていたらしい。
南側の窓に沿って大きなデスクが配置され、机上には分厚い六法全書が目を引きます。
胸に黄金の弁護士バッジをきらめかせた花園弁護士がソファーにもたれています。
花園弁護士と対座しているのは、スーツ姿をしたクライアントの山崎洋子です。
花園法律事務所のホームページで、問い合わせをすませ、法律相談の予約をしていたのです。
Contents
暴力夫から離婚したい!クライアントの経緯!
「メールで事件のアウトラインは聞きましたが、具体的にその内容をお聞かせねがいます」
花園弁護士が山崎夫人に視線を浴びせます。
「はい。それではもうしあげます。株価数億円という親譲りの株式をもっていますので、生計はその配当利回りでたっています」
「ほう。資産家でしたか」
「はい、まあ。主人は時間さえあれば、書斎で売れもしない絵を描いています。
夕方になるとビールを飲んでは暴れだします。キッチンで床に皿を投げつける、木刀でドアを叩く、わたしの頭を鷲づかみにした引きずりまわします」
「それはひどい」
「ある日の夕方、わたしは勝手口から放り出され、ケガをしたので救急車で災害センターにはこばれました。全治3週間の傷を負わされました。主人を傷害罪で告訴できますか。1日も早く離婚して主人の暴力から解放されたいのですが」
山崎夫人は頭を垂れました。
「ご事情はよくわかりました。ご主人を傷害罪で告訴できるか、離婚して、うまく解放される方法はあるか、コメントしていきましょう」
花園弁護士はライターでタバコをつけ、天井に向かい紫煙を噴きあげます。
暴力夫と離婚する具体策を花園弁護士が解説!
ご事情はよくわかりました。
結論を先にいえば、ご主人を傷害罪で告訴できます。
ご主人との離婚もできるでしょう。
できるだけ早く離婚して、ご主人の暴力から解放されましょう。
傷害罪で告訴!
まず傷害罪で告訴できる理由を述べます。
ご主人の暴力は「暴行罪」にもあたりますが、全治3週間の傷を負わせたのですから、暴行罪は傷害罪に吸収され、傷害事件になります。
犯罪者が身内でも告訴はできますから、お考えにしたがい、警察に被害届をだしてから、傷害罪として告訴しましょう。
ご都合のよい日に、わたしが警察にご案内します。
用紙は警察署にありますから、印鑑だけご用意ください。
離婚できるか!暴力夫との離婚の方法は!
それでは、離婚できるかを考えてみましょう。
離婚には「協議離婚」と「調停離婚」および「裁判離婚」があります。
まず「協議離婚」ですが、日常のご事情からみて、話し合いによる離婚はむりでしょう。
そうだとすれば、残りは、「調停離婚」か「裁判離婚」という話になります。
調停離婚はできるか!
そこで「調停離婚」について考えてみましょう。
家庭裁判所でなされる離婚調停の制度を利用する離婚のやりかたです。
その手続きは、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てると開始されます。
離婚調停の手続きは、家庭裁判所において、調停委員2名が、双方から事情を聞き裁判官の指揮のもとに、両者の間に入って調停案を示すなどして、当事者間で公正で具体的に妥当な合意を成立させ、紛争の自主的・任意的な解決をはかろうとすします。
調停の申し立ては、わたしが引き受けますが、裁判所が指定した期日にご一緒に出頭しましょう。
家庭裁判所では待合室を別にするなどして、双方が顔をあわせないようにするなどの配慮がなされています。
離婚調停は、1人の家事裁判官と2人以上の家事調停員、申立て人、その相手が、調停室で話し合いをします。
裁判離婚は!
最後に裁判離婚はどうでしょうか。
裁判離婚とは、家庭裁判所の裁判で離婚することです。
夫婦の話し合いでも、家庭裁判所の離婚調停でも離婚ができないときは、家庭裁判所で離婚の裁判によって離婚することになります。
裁判離婚には「法定された離婚事由」が必要になります。
法定された離婚事由は次の5つです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 結婚相手の生死が3年以上明らかではない
- 結婚相手が重度の精神病を発症しており、今後、回復の見込みがない
- その他、結婚生活を継続することが困難と言えるような重大な理由がある
これらのいずれかの事由がなければ、裁判離婚はできません。
このケースでは、離婚するかどうかを判断するのは、当事者の夫婦ではなく、家庭裁判所だということです。
ですから、離婚するかどうかについて、必ずなんらかの結論が生まれます。
裁判で決まった内容には、法的な効果があります。
お宅のご事情からすれば、「婚姻を継続しがたい重大な理由」がありますから、離婚できるでしょう。
暴力夫との離婚方法、解説を終えた花園弁護士宅の応接室
花園家の応接室では、花園弁護士がソファーにもたれています。
「なにか、おわかりにならないことはありますか」
花園弁護士は、背筋を伸ばして山崎夫人の顔を覗き込みます。
「はい。先生のご説明はよくわかりました」
「そうですか」
「ありがとうございました」
「明日の午後2時には弁護士ビルディングのなかにある事務所のほうにお越しください」
「はい」
「こちらになります」
花園弁護士は案内図が印刷されたペーパーを差し出しました。
「はい。わかりました。ありがとうございました」
山崎夫人は、立ち上がり頭をさげると応接室から消えていく。
■羽村堰
羽村堰では桜並木がつづいています。
そよ風に揺れる桜並木を山崎夫人は歩いていきます。
玉川上水の澄み切った渓流では、錦鯉が水音をたてて跳ねあがりました。
フジタ
法律事務所勤務を経て、法律研究所を設立。司法試験の受験を指導、多数の合格者を輩出してきた。
法律とともに、心理学の専門家でもある。