■花園法律事務所webへようこそ
このサイトでは、様々な法律相談にカウンセリングしていく花園弁護士のお話を掲載しています。
今回は、「浪費癖男に変身した息子の浪費行為を阻止するために合理的な対策を立てたい」という相談です。
- 浪費癖男に無駄使いさせない対処法はあるかどうか。
- 浪費癖を改善する「事実上の対策」のほか、「法的な対策」もあるか。
これらの問題について、信頼できる花園弁護士が懇切に解説します。
Contents
息子の浪費行為を阻止する手段は?花園弁護士の解説は!
わたしの息子は、大学を卒業して就職に失敗してから、性格が変わり、やたらとも物を買い集める悪い癖が身についてしまいました。
あの、なんといいますか。やたらと物を買い集めないと生きていけない「浪費癖男」に変身してしまいました。
わたし名義の小切手帳を使ってしまうので、どうにもなりません。
聞くところによれば、家庭裁判所の力を借りる仕組みもあるそうですが、その手続きをとる前に事実面で改善する対処法はありますか。
■花園弁護士のカウンセリングは!
ご事情はよくわかりました。
結論を先にいえば、息子さんに無駄使いさせない法的な対処法はあります。
家庭裁判所の力を借りる手法は無理ですが、「事実上の対策」はあります。
家庭裁判所の力を借りなくても法的に対応する「委任契約」によって金銭管理をする手法はあります。
順番に解説していきましょう。
息子の浪費癖になる原因はなにか?
まず浪費男になった原因を確かめましょう。
生活のスタイルを変えられないために浪費ぐせになるのか!
そもそも人間は、じぶんの習慣になった生活のスタイルを変えにくいといわれます。
息子さんは幼少時から欲しいものはなんでも買える育ち方だったのでしょう。
ストレス発散のための浪費かも?
複雑な現代社会で生きぬくためには、生活環境に適応しなければなりません。
そのためにストレスが蓄積されます。
するとストレス解消のために無意識のうちに別のアクションを起こします。
自己防衛のためでしょう。
やたらと小切手帳を使って買い集め、ストレスを発散しているのかもしれません。
社会的な習慣性からくる無駄遣いではないか?
人間の「ディドロ効果」といわれる社会的習慣性から浪費癖に罹患した可能性も考えられましょう。
その症状が酷くなると、部屋の家具とか車とか洋服など、高級品を買い揃えてしまう人がいます。
息子さんこれらの原因がないかどうか確かめ、その要因を除去するようおすすめします。
浪費癖を改善する事実上の対策!
専門家のカウンセリングを受ける
なによりもまず、精神科に連行して専門医の診察を受けましょう。
じぶんの自力で浪費癖を改善するのは困難ですから、息子さんを説得して専門医に診断してもらうようおすすめします。
浪費行為に替わる趣味を見つけさせる
浪費癖を治療するためには、趣味を見つけることが重要になります。
すると趣味に没頭するようになり、無駄遣いをしなくなります。
貯金目標を立てさせる
小遣いのなかから毎月決まった額を貯金するよう専用口座を設定しましょう。
継続的に費用を節約して預金する気持ちに導くようおすすめします。
節約するためのポイントを押さえさせる
生活費を節約するポイントを抑えるコツを教えてあげましょう。
じぶんだけでなく、周りの人もみんな節約しているのを認識させるために、節約している知人を見習うよう導きましょう。
するとみんなで節約する気分になりましょう。
小遣い帳に記入させる
専用の小遣い帳を与えて金銭の出納を明らかにさせましょう。
すると節約のコツも体得されるようになりましょう。
買い物のレシートを保存させる
買い物をするたびに交付されるレシートを専用の箱のなかに保存させましょう。
そうすれば、どれだけ買い入れたか確認できますから、費用を節約する気にもなるでしょう。
お金の管理を徹底する
これまで以上にお金の管理を徹底しましょう。
できれば、家族が管理するのではなく、信頼できる知人に管理させたほうが効き目もおおきくなるでしょう。
小切手帳を取り上げる
なによりも息子さんから小切手帳を取り上げる必要があります。
回収した小切手帳は、金庫に入れて、厳重に保管しましょう。
浪費癖を改善する法律上の対策はあるか?弁護士解説は!
それでは浪費癖を改善する法律上の対策はあるでしょうか。
まず成年後見制度を活用できるでしょうか。
成年後見制度は?
そもそも成年後見の制度は、認知症など精神の障碍(しょうがい)により判断能力が十分ではない人を法的に守るための制度です。
ですから、単に浪費癖があるという本件では、残念ながら、保佐などの成年後見の制度を利用することはできません。
しかし、浪費癖の背景に認知症などの精神上の疾患があるケースならば、成年後見の制度を利用する余地はありますから、一度、精神科で専門医の診察を受けてみましょう。
旧制度としては、準禁治産の制度がありましたから、金遣いが荒い「単なる浪費者」については、準禁治産の宣告を受け、彼を守ることができました。
しかし、民法が改正された新制度では、「単なる浪費者」は成年後見の対象者から外されてしまいました。
これは、個人の尊厳を基調とする個人主義の哲学を重視した立法政策によるものです。
ですから「単なる浪費者」は法的拘束を受けないで自由に経済活動ができる反面、トラブルが起きても、「行為能力制度」では保護されません。
ただ、成年後見の制度を利用できなくても息子さんと財産管理の委任契約を締結するなどの手法によって、財産の浪費を防止するために金銭の出納を管理するという対策は考えられます。
息子の浪費行為解決を解説後…花園法律事務所の接見室
花園法律事務所の接見室では、クライアントと花園弁護士が対座しています。
「これまで解説しきた結果として、浪費癖の原因はじめ、浪費癖を改善する事実上の対策が明らかになりました。そして最後に浪費者を保護する法的な対策がないかも解説しました。
結局、法定後見制度の活用は無理ですが、資金管理に関する委任契約で拘束する対策は可能と判明しました。この契約書はこちらで作成してあげましょう。案件の対応策はおわかりでしょうか」
「はい。よくわかりました。ありがとうございました」
クライアントは起立して深く頭をさげ、接見室から廊下へ消えていきます。
フジタ
法律事務所勤務を経て、法律研究所を設立。司法試験の受験を指導、多数の合格者を輩出してきた。
法律とともに、心理学の専門家でもある。