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このサイトでは、様々な法律相談にカウンセリングしていく花園弁護士のお話を掲載しています。
今回は、相続・継承した資金・資産の管理を適正化したいという案件です。
資産家の父が死亡して長男が相続で財産を継承したケースにおいて、素人が資金・資産の管理を適正にするコツを解説します。
Contents
相続した大型の財産を管理するには?
わたしの父は、江戸時代から続いてきた質屋を営むうちに不動産投資で利益をあげるようになりました。
個人経営で不動産業を兼営し、東京の都心に貸しビルまで建設し、賃貸マンションも所有しています。
ところが、父は心不全で急死しました。相続人は母とじぶんだけです。
わたしは都心の大学病院で精神科の医師として勤務しています。
父はどのようにして資金計画を立て、資産の管理をしていたのか解かりません。
個人経営のケースで資金・資産の管理を適正化する手法をご指導ねがいます。
■ 花園弁護士のカウンセリングは!
ご事情は、よくわかりました。
資産家ですから、借財などの「消極財産」はないとみられますが、貸しビル、賃貸マンションなどのほかにも土地などの不動産があるかもしれません。金庫を開けて、貸しビルなどの登記済権利証をすべて確認されるようお奨めいたします。
まず「資産管理の基本姿勢」を解説してから「固定資産の管理」を中心に資産管理のコツを解説いたします。
相続資産の管理をどうするか?その基本姿勢
まず、資産を管理するときの腰の据え方として「資産管理の基本姿勢」を確かめましょう。
そもそも「資産の管理」とは、個人とか法人としての企業が、資産の主体としての立場から、保有する現金、株式その他の証券などの金融資産、不動産、車両など、すべての資産を管理することをいいます。
たとえば、個人の資産としては、土地、建物、銀行預金、株券、債券その他の証券、生命保険契約の価値、投資信託などをあげることができます。
これらの手持ち情報を正確に把握することが資産を管理する基本姿勢となります。
固定資産の正体は?
保有する財産のうちで、重要性の高いのは「固定資産」でしょう。そこで固定資産の定義を確かめておきましょう。
固定資産とは、販売を目的としてはいないが、継続して使用することを目的とする財産のことをいいます。「固定資産税」の対象とされる財産がこれにあたります。
固定資産には、「有形固定資産」・「無形固定資産」・「投資その他の資産」があります。
有形固定資産としては土地、建物、機械設備などがあります。
無形固定資産には営業権、特許権、商標権、意匠権などの「知的財産権」があげられます。
そうすると、固定資産には、小さなものから大きなものまでありますが、資産状況を総合した「貸借対照表」に占める固定資産の額は多くなりやすいといわれます。
いずれにしても、「減価償却費」が「損益計算書」に大きな影響を与えることを考えると、
固定資産の管理を適正に行うことが大切となります。
さらに、固定資産は所有しているだけで「固定資産税」が賦課(ふか)されます。
ですから、不要な固定資産は売却したほうが節税面で合理的でしょう。
固定資産は、時の経過とともに価値がしだいに減少していきます。ですから、会計処理上は、取得した固定資産を「減価償却」して支出を分配する必要があります。
固定資産棚卸し
このような「固定資産」は、年に1~2回、「棚卸し」をするようお奨めします。
なぜなら、固定資産台帳を適時整理し、償却資産税を正確に把握し、資産を保全するために必要となるからです。
固定資産の棚卸の内容は、その利用者とか、利用場所などの管理状況です。棚卸し内容によっては、必要に応じて不要な固定資産を処分も検討します。
土地管理簿の活用
そして「土地管理簿」の活用をお奨めいたします。
「土地管理簿」とは、所有する固定資産のうち、土地についてだけ管理記録を残す帳簿をいいます。
土地管理簿は、法人の場合は本社や支店等の土地が借地ではなく所有地であるときに管理簿として活用できますし、個人の場合は田園とか、空き地など、所有している土地の管理簿として活用できます。
資産を表で管理
さらに、所有する資産は「表」に整理しておけば役にたちます。
たとえば、表にする必要項目としては、
資産種類、物件名、管理部門、所在地、取得年月日、
耐用年数、償却方法、償却率、残存割合、取得価額、期首圧縮科学、特別償却率、
増加償却率、構造、経費、変更、異動履歴
などをあげられます。
これらの項目を「表」にしておけば、各種の手続きをするときに役にたちます。
消極資産対策は
本件では、ローンその他の借財など「消極資産」対策は不要とみられますが、参考までにご紹介すると、消極資産対策としては「債務整理」の手法があります。「任意整理」をはじめとして「民事調停」、「破産手続」などの制度を活用できます。
資産管理会社・資産管理ソフトの活用
本件は、管理すべき資産が大きいようですから、素人が管理するのは無理かもしれません。
そこで、「資産管理会社」の活用とか、「資産管理ソフト」の導入をお奨めいたします。
資産管理会社は、資産管理のスペシャリストですから、相続税、所得税などの節税効果が高いと評価されています。
これに対し、資産管理ソフトは、収入、支出など資産の管理を自動で管理できる素晴らしいソフトです。銀行、証券、年金、土地などを広く包括したソフトを導入するのが適切といえましょう。
相続資産の管理は適正に!
これまでの花園弁護士の解説によって、資金・資産の管理にも合理的に対応できるコツがあると判明しました。
固定資産の扱い方、固定資産の棚卸しの必要性、資産表の作成、土地管理簿の有用性も確認できました。
これらの情報を活用するとともに、資産管理会社の利用とか、資産管理ソフトまで存在していると解かりました。
まずは選択肢として、資産管理会社の活用と資産管理ソフトの導入をお奨めいたします。
結局、本件では、お手元にある資産に関する書類などを確認整理し、対処法を選択することになりますが、選択した制度の利用手続については、弁護士事務所に相談が可能です。手続きを代理を依頼できるでしょう。
フジタ
法律事務所勤務を経て、法律研究所を設立。司法試験の受験を指導、多数の合格者を輩出してきた。
法律とともに、心理学の専門家でもある。