和菓子の商標権が侵害!侵害者への対応は!差し止め法を解説

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今回は、和菓子の商標権「梅の里」が侵害された事件です。

商標権者はその権利を守るために、商標権を侵害した者に対し、どのような対処法が考えられるでしょうか。
人権擁護の実力派として知られる花園弁護士が懇切に解説していきます。

商標「梅の里」が侵害された!対応は!

わたしは、郊外の駅前で自家製の和菓子を製造販売しています。
自分で考案した「梅の里」というトレードマークを商標として特許庁に登録して商標権を取得しました。

ところが、大手のデパートに出店している名々月堂が、うちの商標「梅の里」を使用して餅菓子の販売をしていると、ローカル新聞の記者さんから聞かされました。

そこで、デパートの現場に行ってみると、「梅の里」という商標で餅菓子が販売されていました。

テレビのコマーシャルでも知られている「名々月堂」が相手では、どうにもなりません。
なんとか「梅の里」を守りたいのですが、法的な対策はありますか。差し止めはできますか。
商標「梅の里」を守る手法をご指導ねがいます。

そもそも商標権は商標に関する権利ですが、どんな力を持っている権利でしょうか。
ご教示ねがいます。

商標侵害の差し止め請求法は!花園弁護士のカウンセリングは!

ご事情はよくわかりました。
結論を先にいえば、まず「名々月堂」に対して差し止め請求ができます。
そして商標権の侵害から生じた損害の賠償を請求できます。
さらに差し止め請求に応じないときには、調停の申し立て、仮処分の申し立て、訴訟の提起もできます。

その理由を順に考えていきましょう。

商標権の正体は!

本論に入る前に、まず商標権の正体を見直しましょう。
商標権の土台となる「商標」とは、商品とか会社の名称、その団体の役務などを他社から見分けえられるような「印」をいいます。
この「印」はマークですから、トレードマークと呼ばれる所定の形状を意味しています。

この商標を権利に化体した「商標権」は、商標法で定められた商標を使用する権利です。
商標権の効力は、商標は自分だけが専用できるし、他人がその商標を使用することを禁止できます。
このような、ふたつの内容を含む「専用権」と「禁止権」が商標権の効力といえます。

商標権の侵害とは!

それでは、商標権の侵害とはどのようなシチュエーションをいうのでしょうか。

そもそも商標権者は、商標権設定の登録から10年間は、登録した商標を専有しています。
この期間は更新手続きをとれば、更新によりさらに延長されます。
商標権は商標権者に専有されますから、他人はその商標を使用できません。

それにもかかわらず他人がその登録商標を勝手に使用すれば、商標権の侵害になります。

さらに、

  • 登録商標による指定商品・指定役務と同一もしくは類似の商品・役務に「登録商標に類似する商標」を使用するケースとか、
  • その指定商品・指定役務に類似する商品・役務に「登録商標」を使用するケース

も侵害とみなされます。

商標権侵害の判断は!

これまで見てきた結果として、商標権の侵害状況は、「商標の同一性」とか「商標の類似性」などデリケートな条件が判断基準になるため、具体的なケースが商標権の侵害に該当するかどうかの判断は高度に専門的な思考が要求されます。
ですから、その判断は専門家の弁護士に相談しましょう。

たとえば、商品とか役務の類似性については、「取引の実情」を考慮して商品や役務に商標を付したケースにおいては、その「出所の混同が生じるか否か」によって判断されます。

その商標を見たときの「外観」とか、庶民が感じる一般的な印象としての「観念」なども、「同一または類似性」の判断基準とされます。

裁判所の判例によって「外観が類似」しているとされた例としては、

「制糖」の文字と小用をしている子供および蟻の図形から構成される登録商標は、「日糖協制糖茶」の文字と同様の図形から構成される商標と類似している

とされたケースがあります。

商標権が侵害され、差し止めまでの具体的対処法!

商標権が侵害されたちきの対処法はどうでしょうか。
その商標を使用しないように「警告書」を発送します。
それでも使用を継続しているときは、調停の申立とか、仮処分の申立てをして、本案訴訟を提起することになります。

侵害の警告はどうか!

まず加害者に対して「梅の里」という登録商標の使用を中止して、商標権を侵害しないよう警告書を発送してみましょう。
こちらの警告を受け止めて、「梅の里」の使用を中止すれば一件落着ですが、警告を無視して「梅の里」の使用を継続しているときは、裁判手続きに移行することになります。

裁判手続きは!

警告を無視されたときは、「名々月堂」に対して侵害行為中止の請求をしましょう。
最初に調停の申立を試みましょう。
調停が成立すれば一件落着です。

調停が不成立になったときには、まず仮処分の申し立てをしてから、登録商標の使用禁止および損害賠償請求の本案訴訟を提起しましょう。

商標権を守るためには!

これまでの解説によって、商標権を守る手順が判明しました。
ここでもう一度、わかりやすいように整理しておきましょう。
最初に、守りたい「商標権の正体」を念のため、確認しました。
この商標権の侵害とはどういうシチュエーションをいうのか、商標権が侵害されたかどうかの判断はどのようにしてなれるのかも確かめました。

その結果、登録商標「梅の里」を大手菓子メーカーの「名々月堂」で使用し、商標権が侵害されているものと判断されますから、「梅の里」を守るためにまず警告書を弁護士名義で確定日付ある内容証明郵便で発送しましょう。

それでも「名々月堂」が「梅の里」の使用を止めないときは、先に解説した手順で裁判上の手続きをとりましょう。

商標侵害の対処法解説を終えて、花園法律事務所の接見室

花園法律事務所の接見室では、花園弁護士がソファーにもたれ、腕を組んでいます。
「これでカウンセリングは終わりですが、なにか、おわかりにならないことはありますか」

花園弁護士は、クライアントと視線をあわせます。

「はい。よくわかりました。すべて花園先生にお任せいたします」

「それでは、明後日の午後2時にお越しください」
「はい。わかりました」
「委任状に用いる印鑑と着手金10万円をご用意ください」
「はい。わかりました」

クライアントは深く頭を垂れると、接見室の入口に向かいます。
花園弁護士はドアのところまでクライアントを見送ります。

 

著者紹介

フジタ
法律事務所勤務を経て、法律研究所を設立。司法試験の受験を指導、多数の合格者を輩出してきた。
法律とともに、心理学の専門家でもある。

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